確定申告の際に青色申告特別控除(65万円)を利用されていますか?
されていない方がいらっしゃいましたら、ぜひ適用できるようにしてください。
青色申告特別控除(65万円)とは、青色申告制度を利用している方できちんとした簿記の原則に
沿った記帳をし、それに基づいて作成した貸借対照表と損益計算書を確定申告書に添付して提出
(確定申告期限内に限ります)している場合には65万円控除できるという制度です。
この控除制度を受けるためには、青色申告による確定申告をしなければなりません。
具体的にいうと、青色申告承認申請書という書類を所轄の税務署に提出
(受けようとする年の3月15日まで:新規開業の場合は開業から2ヶ月以内)
することにより青色申告適用事業者になります。
よく白色申告とかいう言葉がありますが、
これは青色申告による確定申告をしていない申告のことをいいます。
ただし、青色申告を受けるためには一定水準の記帳をし、
その記帳に基づいて正しい申告をする必要があります。
この青色申告特別控除(65万円)を適用できた場合の効果は以下の通りです。
1.所得税が安くなる
2.住民税が安くなる
3.国民健康保険が安くなる
例えば、青色申告特別控除(65万)を適用しない場合の事業所得が500万円とすると500万円から各種控除を引いた金額に所得税、住民税が課せられます。
また、国民健康保険加入者の方は500万円から基礎控除33万円を引いた金額で所得割額が計算されます。
65万円控除できれば500万ではなく435万円から上記の各種税金の計算がスタートされます。
例えば、所得税10%の税率がかかっている人だと、所得税で10%、住民税で10%、さらに国民健康保険加入者の方だとその市町村の所得割の税率(一般的には住民税より高いところが多いです。)の分だけ負担が少なくなります。
国民健康保険加入者の方で所得税の税率が10%の方だと65万の30%以上の金額の負担減になります。
一定レベルの経理処理等行なわなければならない等のハードルはありますが何とか適用できるようにしたいものですね。
ご興味もたれた方は下記の青色申告制度、青色申告特別控除制度をごらんになってぜひ検討してみてください。
事業所得や不動産所得、山林所得がある人は、その収入金額や必要経費に関する日々の記帳や書類の保存をする必要がありますが、それらに関して一定水準の記帳をし、その記帳に基づいて正しい申告をする人については、所得金額の計算などについて有利な取扱いが受けられる青色申告の制度があります。
これを受けるためには、受けようとする年の3月15日まで(新規開業の場合は開業後2ヶ月以内)に所轄税務署に青色申告承認申請書を提出する必要があります。
青色申告者の帳簿書類とその保存・記帳
(1)原則 正規の簿記の原則に基づく記帳
(2)例外 現金出納帳、売掛帳、買掛帳、経費帳、固定資産台帳のような帳簿を
備え付けて行なう簡易な記帳
<帳簿書類の保存>
原則として7年間保存することとされていますが、書類によっては5年間でよいものもあります。
青色申告者の特典
(1)青色申告特別控除(65万円OR10万円)
(2)青色専従者給与
青色申告者と生計を一にしている配偶者やその他の親族のうち、年齢が15歳以上で、
その青色申告者の事業に専ら従事している人に支払った給与は、事前に提出された
届出書に記載された金額の範囲内で専従者の労務の対価として適正な金額であれば、
必要経費に算入することができます。
なお、青色事業専従者として給与の支払を受ける人は、控除対象配偶者や扶養親族には
なれません。
(3)貸倒引当金の計上
(4)純損失の繰越しと繰戻し
(5)減価償却の特別償却など
青色申告者に対する特典として最も効果が高いのがこの青色申告特別控除です。
この青色申告特別控除には控除額が10万円と65万円の2つがあります。
65万円の青色申告控除を受けるためには
(1)不動産所得又は事業所得を生ずべき事業を営んでいること
(2)その取引について正規の簿記の原則により記帳していること
(3)その記帳に基づいて作成した貸借対照表及び損益計算書を確定申告書に添付し、
この控除の適用を受ける金額を記載して、法定申告期限内に提出することが要件に
なっています。
この要件を満たしていない青色申告者は10万円の控除しか受けることができません。
よく貸借対照表を付けるだけで65万控除できますという話を聞きますが、それが正規の簿記の原則
(複式簿記)による記帳に基づいたものでなければなりません。最近は会計ソフトが安くなって
いるのでパソコン操作が出来る方や簿記の知識が多少ある方は可能なのではないでしょうか?
※なお、現金主義を選択されている場合には65万円の控除を受けることはできません。
また、不動産所得については貸付が事業的規模で行なわれている場合でないと65万円控除を
受けることは出来ません。
不動産所得の事業的規模
事業的規模の判定は原則として社会通念上事業といえるかどうかで判定されますが、
建物の貸付については基準が設けられています。
(1)貸間、アパート等については、独立した室数がおおむね10室以上であること
(2)独立家屋の貸付については、おおむね5棟以上であること
この基準にあてはまれば事業として行なわれているものとして取り扱われます。
上記基準を見るとおおむねと書いてありますので、アパート、一軒家、貸地など混在している場合
にはトータルで判断する必要があります。
昭和44年8月5日生まれ。
早稲田大学理工学部電気工学科出身。JR東日本信号通信部門に就職後、36歳の時に退職して、妻の住む岐阜へ移住。その後、税理士を目指して勉強し、平成22年12月、41歳の時に合格。岐阜市内の医療・介護特化型事務所で修行後、平成27年12月に独立開業。